
VYMとS&P500どっちに投資すべき?
このような悩みに答えます。
- VYMとは?
- S&P500とは?
- VYMとS&P500の比較
- VYMとS&P500どっち?
- VYMとS&P500両方はあり?
- 投資信託・ETFの買い方
- VYMの配当金に関する注意点
VYMは米国高配当株ETF、S&P500は米国の主要企業500社で構成される株価指数です。
どちらも米国株に投資する点は共通していますが、配当重視か成長重視かで異なります。
結論から言うと、分配金(配当金)を得たいならVYM、資産形成をしたいならS&P500がおすすめです。
本記事では、VYMとS&P500どっちに投資すべきかについて詳しく解説します。
なお、VYMやS&P500に投資するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
【おすすめのネット証券】
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
楽天カード利用者 | 楽天証券 >> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 |
au PAY カード利用者 | 三菱UFJ eスマート証券 >> 三菱UFJ eスマート証券のメリット・デメリットについて解説 |
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VYMとは?
名称 | バンガード・ハイディビデンド・イールドETF |
運用会社 | バンガード社 |
目標とする指数(ベンチマーク) | FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス |
経費率(手数料) | 0.06% |
銘柄数 | 500 |
取扱い可能な証券会社 | SBI証券、楽天証券、マネックス証券、三菱UFJ eスマート証券など |
VYMは、バンガード社が運用する「バンガード・ハイディビデンド・イールドETF」というETFです。



平均以上の配当を出す500以上の米国企業に投資します。
VYMは500以上の銘柄で構成されている一方、リスクを抑えた分散投資を行っているため、分配利回りは他の高配当ETFと比較してやや低めです。
とはいえ、VYMは安定したパフォーマンスを誇り、長期的な資産形成を目指す方には十分に魅力的な選択肢となるETFです。
S&P500とは?
名称 | S&P500 |
指数基準日 | 1957年3月4日 |
構成銘柄数 | 500 |
構成銘柄 | 米国の主要企業500社 |
指数の計算方法 | 浮動株調整後時価総額加重平均 |
銘柄入れ替えの頻度 | 年4回(3月・6月・9月・12月) |
S&P500は、米国の代表的な株価指数の1つであり、米国の主要企業約500社の時価総額をもとに算出されています。



米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしており、米国の経済動向を反映する重要な指標として幅広く利用されています。
S&P500にはGAFAMなどの米国を代表する企業が含まれているため、S&P500に連動する投資信託に投資することで、米国の主要企業500社に投資するのと同じ効果が得ることが可能です。
S&P500に連動する投資信託として「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「楽天・プラス・S&P500インデックスファンド」などがあります。
VYMとS&P500の比較
組入銘柄
組入上位10銘柄は以下のとおり。
VYM | S&P500 | ||
---|---|---|---|
ブロードコム | 4.00% | アップル | 6.9% |
JPモルガン | 3.58% | マイクロソフト | 5.9% |
エクソンモービル | 2.72% | エヌビディア | 5.7% |
ユナイテッドヘルス・グループ | 2.50% | アマゾン | 3.8% |
P&G | 2.09% | アルファベット A | 2.7% |
ジョンソン&ジョンソン | 2.08% | メタ・プラットフォームズ | 2.1% |
ウォルマート | 1.98% | バークシャー・ハサウェイ | 2.0% |
アッヴィ | 1.93% | ブロードコム | 1.7% |
ホーム・デポ | 1.89% | テスラ | 1.6% |
コカ・コーラ | 1.44% | JPモルガン | 1.4% |
- S&P500:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
VYMとS&P500で組入上位10銘柄は大きく異なります。
VYMは、安定した配当を支払う実績のある企業に重点的に投資しています。
そのため、エネルギーや生活必需品、金融といった、景気の変動に左右されにくく、比較的安定したキャッシュフローを持つ企業が多く含まれています。
これらの業種は株価の値上がり益よりも配当利回りの高さに魅力があり、インカムゲインを重視する投資家にとって適した構成です。
一方で、S&P500はGAFAMに代表される情報技術セクターの比重が大きくなっています。
これらの企業は配当よりも成長に資金を回す傾向が強いため、株価の上昇によるキャピタルゲインを狙いたい投資家に適しています。
純資産額
純資産総額は、組み入れられている株式や債券など資産の時価総額のことで、投資信託の規模を表します。
純資産総額が多いほど多くの人から投資されていることを意味します。
VYM | S&P500 |
7兆7423億(550.251億ドル) | 5兆3846億円 |
- S&P500:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
純資産額はVYMの方が大きいです。
手数料
VYM | S&P500 | |
購入時手数料 | 買付手数料が発生 | 無料 |
信託財産留保額 | なし | 無料 |
信託報酬 | 0.06% | 0.09889% |
その他 | 0.02% | |
実質コスト | 0.06% | 0.11889% |
- S&P500:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
各手数料の詳細
【購入時手数料】
購入時手数料は、投資信託を購入する際に発生する手数料です。
この手数料は購入時に一括で支払うもので、販売会社によって設定された割合に基づいて計算されます。
購入時手数料は一般的にパーセンテージで表され、最近ではノーロードと呼ばれる購入時手数料が無料の投資信託も増えています。
【信託財産留保額】
信託財産保留額は、途中で投資信託を抜ける解約料のようなものです。
たとえば信託財産保留額0.3%の投資信託を1万円で売却したら、30円が差し引かれて9,970円が戻ってきます。
【信託報酬】
信託報酬は毎日発生し、投資信託の純資産から日割りで引かれる形になります。
例えば、信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資したら、信託報酬は以下のようになります。
【信託報酬が年率1%の投資信託に10万円投資した場合】
- 1年間で発生する信託報酬:約1,100円(10万円×1.0%+消費税)
- 毎日発生する信託報酬:約3円(1,100÷365+消費税)



この額が純資産から差し引かれます。
なお、信託報酬は自動的に差し引かれるため、投資家が直接支払うことはありません。
【その他】
購入時手数料や信託財産留保額、信託報酬以外の費用は「その他」に分類されます。



その他の費用は一定ではなく、時期や運用状況、市場の動向によって変動します。
また、その他の費用は「隠れコスト」とも呼ばれ、通常の購入時手数料や信託報酬とは異なり、表立って見えないことが多いです。
そのため、交付目論見書や交付運用報告書といった公式な書類を確認しなければ詳細を把握できない場合があります。
手数料はVYMの方が低いです。
分配金の利回り
VYM | 2.86% |
S&P500 | 1.53% |
- S&P500:VOO(Vanguard S&P 500 ETF)
分配金とは?
分配金とは、投資信託から支払われる配当金のことです。
投資信託は、保有する資産(株式や債券など)から得られる配当金や利息を受け取ります。
これらの収益が投資信託の利益となり、投資信託の決算時に運用益の一部を投資家に還元する際に支払われます。
分配金の利回りはVYMの方が高いです。
トータルリターン
VYM | S&P500 | |
2017年 | 14.3% | 16.3% |
2018年 | -6.7% | -11.0% |
2019年 | 22.7% | 28.9% |
2020年 | 1.4% | 9.0% |
2021年 | 26.2% | 38.3% |
2022年 | -0.4% | -5.4% |
2023年 | 6.5% | 32.5% |
平均 | 9.14% | 15.51% |
- S&P500:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
トータルリターン(値上がり+分配金を合計したリターン)はS&P500の方が高いです。
新NISAの対象
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
VYM | × | ◯ |
S&P500 | ◯ | ◯ |
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
- S&P500:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
VYMは成長投資枠のみ対象ですが、S&P500はつみたて投資枠と成長投資枠の対象です。
VYMとS&P500どっち?
分配金(配当金)を得たいならVYM、資産形成をしたいならS&P500がおすすめです。
VYMは、財務状況が良好で安定した配当を継続している米国企業を中心に構成されており、高配当株に分散投資することができます。
配当利回りは年約3%前後と比較的高く、定期的なインカムゲイン(配当収入)を得たい方にとって魅力的な選択肢となります。
一方で、S&P500は米国の主要企業500社で構成される株価指数で、成長性の高いIT・テクノロジー企業が多く含まれています。
配当利回りは1.5%前後と高くはありませんが、値上がり益を含めたトータルリターンではVYMを上回る実績を出してきました。
毎年安定的に配当を得て手元資金を増やしたい場合はVYM、長期的に資産を大きく育てていきたいならS&P500が良い選択となります。
なお、S&P500に投資する場合の出口戦略には、引退時の資産額の4%を毎年一定額で取り崩す「定額取り崩し」と、毎年の資産残高の4%を取り崩す「定率取り崩し」の2つがあります。
VYMとS&P500両方はあり?
分配金(配当金)と売却益を得たいのであれば、両方に投資するのも選択肢の1つです。
S&P500は米国の主要企業500社に分散投資する株価指数で、長期的な成長が期待できるため、資産形成を目的とする投資に適しています。
ただ、S&P500連動の投資信託やETFは基本的に分配金が少ない(または出ない)ため、資産が増えてもそれを現金として使うには売却が必要になります。



つまり、いくら含み益が増えても、売却しない限りは実際に使えるお金にはなりません。
一方で、VYMは、安定した配当を出す銘柄に分散投資しているため、景気の変動によって株価が上下しても定期的に配当金を得られます。
資産を取り崩すことなく、保有し続けているだけで四半期ごとに配当金が振り込まれる点は、VYMの大きなメリットと言えるでしょう。
投資信託・ETFの買い方
投資信託・ETFの買い方は以下のとおり。
- 証券口座を開設する
- 投資信託・ETFを購入する
①証券口座を開設する
投資信託・ETFを購入するには証券口座を開設する必要があります。
多くのネット証券ではNISA口座での取引手数料が無料になったので、使用するクレジットカードによって証券口座を選ぶと良いでしょう。
NISA口座(非課税口座)とは?
証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資を行い利益を得たら20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資を行えば税金がかかりません。
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
楽天カード利用者 | 楽天証券 >> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 |
au PAY カード利用者 | 三菱UFJ eスマート証券 >> 三菱UFJ eスマート証券のメリット・デメリットについて解説 |
dカードまたは上記3つ以外のカード利用者 | マネックス証券 >> マネックス証券のメリット・デメリットについて解説 |



クレジットカードで積立するとポイントが還元されます。
なお、マネックス証券のポイント還元率は1.1%とトップクラスの還元率を誇ります。
三井住友カードや楽天カード、au PAY カードを持っていない方は、マネックスカードを作成してマネックス証券を利用すると良いでしょう。
②投資信託・ETFを購入する
投資信託の購入方法
証券口座を開設したら投資信託を積立購入します。
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
ETFの購入方法
証券口座を開設したらETFを購入します。
ETFの注文方法は個別銘柄と同じですが、海外ETFに関しては「外国株式取引口座」の開設が必要な証券会社もあるので、国内ETFと海外ETFに分けて紹介します。



外国株式取引口座とは、外国株式や外国投資信託等を売買する際に開設が必要な口座のことです。
【国内ETF】
- SBI証券:「Webページにアクセス」→「国内株式」→「ETF・ETN」
- 楽天証券:「Webページにアクセス」→「国内株式」
- マネックス証券:「Webページにアクセス」→「商品・サービス」→「株式取引」
- 三菱UFJ eスマート証券:「Webページにアクセス」→「お取引」→「現物株式」
【海外ETF】
- SBI証券:
- 外国株式取引口座の開設が必要→外国株式取引口座開設方法
- 「Webページにアクセス」→「外国株式・海外ETF」→「海外ETF」
- 楽天証券:
- 外国株式取引口座の開設は不要
- 「Webページにアクセス」→「外国株式」→「海外ETF」
- マネックス証券:
- 外国株式取引口座の開設が必要→外国株式取引口座開設方法
- 「Webページにアクセス」→「商品・サービス」→「外国株」
- 三菱UFJ eスマート証券:
- 外国株式取引口座の開設が必要→外国株式取引口座開設方法
- 「Webページにアクセス」→「お取引」→「外国株式」
なお、米国ETFなどの海外ETFの購入方法として、「円貨決済」と「外貨決済」の2種類があり、外貨決済の方が低コストなので、外貨決済を選ぶと良いでしょう。
VYMの配当金に関する注意点


配当金(分配金)は課税対象
外国資産(株式・不動産)や外国資産に投資を行う投資信託から得られた分配金に対して、投資先の国ごとに所得税に相当する税金(以下「外国所得税」)がかかる場合があります。
NISA口座(非課税口座)を利用しても国内での課税(20.315%)は非課税にできますが、外国所得税は免除されません。



例えば、米国企業に投資する投資信託の分配金には、米国で10%の税金がかかります。
なお、分配金は外国所得税が源泉徴収された後に入金される仕組みであるため、個人が特別な手続きを取る必要はありません。
加えて、オルカンなどの基本的に分配金を支払わない投資信託は、源泉徴収された後に自動で分配金が再投資されます。
課税口座(一般口座、特定口座)を利用している場合はどうなる?
課税口座を利用している場合、分配金に対して二重に課税されます。
例えば、米国企業に投資する投資信託の分配金には、米国で税金(10%)が源泉徴収された後に国内分(20.315%)が課税されます。
なお、二重課税となっている場合は、特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告することで外国税の一部または全部を取り戻すことが可能です。
外国税額控除の詳細については「No.1240 居住者に係る外国税額控除」をご覧ください。
VYMの配当利回りは変動する
VYMは高配当株ETFとして知られていますが、その配当利回りは固定されているわけではありません。
市場環境や経済状況の変化に応じて変動し、企業の収益が向上すれば増配される可能性がある一方、業績が低迷すれば減配のリスクもあります。
また、VYMは時価総額加重平均型のETFであり、構成銘柄の入れ替えや配当方針の変化によっても、配当額や利回りに影響が出る可能性があります。
過去の配当実績を参考にすることはできますが、それが将来の配当額を保証するものではない点には注意が必要です。
VYMの配当利回りは高くない
米国高配当株ETFにはVYMの他にもHDVやSPYDがあり、VYMの配当利回りは他と比較して特別に高いわけではありません。
【配当利回り】
HDV | 3.72% |
SCHD | 3.72% |
SPYD | 4.84% |
VIG | 1.73% |
VYM | 2.90% |
ですが、VYMの銘柄数は約500であり、業種のバランスも良いため、安心して長期保有したい方にとって最適な選択肢となるでしょう。
配当金は米ドルで支払われる
VYMの配当金は米ドルで支払われるため、実際に受け取る金額は為替レートの影響を受けます。
円安の状況では1ドルあたりの円の価値が低くなるため、受取額が増加しますが、円高になると受取額は減少します。
このように、為替レートはVYMの配当金を受け取る際に重要な要素となり、投資家は為替リスクも考慮する必要ことが必要です。
まとめ
今回はVYMとS&P500どっちに投資すべきかについて解説しました。
- VYMとは?
- S&P500とは?
- VYMとS&P500の比較
- VYMとS&P500どっち?
- VYMとS&P500両方はあり?
- 投資信託・ETFの買い方
- VYMの配当金に関する注意点
分配金(配当金)を得たいならVYM、資産形成をしたいならS&P500がおすすめです。
VYMは、財務状況が良好で安定した配当を継続している米国企業を中心に構成されており、高配当株に分散投資することができます。
配当利回りは年約3%前後と比較的高く、定期的なインカムゲイン(配当収入)を得たい方にとって魅力的な選択肢となります。
一方で、S&P500は米国の主要企業500社で構成される株価指数で、成長性の高いIT・テクノロジー企業が多く含まれています。
配当利回りは1.5%前後と高くはありませんが、値上がり益を含めたトータルリターンではVYMを上回る実績を出してきました。
毎年安定的に配当を得て手元資金を増やしたい場合はVYM、長期的に資産を大きく育てていきたいならS&P500が良い選択となります。
なお、VYMやS&P500に投資するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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