
新NISAとは?分かりやすく教えてほしい
このような悩みに答えます。
- NISAとは?
- 旧NISAと新NISAの違い
- 新NISAの始め方
- 新NISAに関するQ&A
NISAとは?
NISAとは少額投資非課税制度のことで、株や投資信託を売却して利益が出た際に課税されない制度です。
投資を行うには証券口座を利用する必要があり、証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資をして利益が出ると約20%の税金がかかってしまいますが、NISA口座を使えば利益に税金はかかりません。
口座の種類 | 確定申告 | 年間取引報告書 | |
課税口座 | 一般口座 | 必要 | 自分で作成 |
特定口座(源泉徴収あり) | 原則不要 | 証券会社が作成 | |
特定口座(源泉徴収なし) | 譲渡益が発生した場合は必要 | 証券会社が作成 | |
NISA口座(非課税口座) | なし | なし |
特定口座(源泉徴収あり)と特定口座(源泉徴収なし)の違いは?
源泉徴収は、本来自分で納めるべき税金を証券会社が利益から引いて納めてくれる仕組みです。
源泉徴収ありの場合、確定申告の手間が省けるというメリットがあります。
また、源泉徴収なしの場合、他の証券口座と損益通算をできたり、損失を来年以降に繰り越せるというメリットがあります。



これから投資を始める方は、特定口座(源泉徴収あり)とNISA口座を開設しておくと良いでしょう。
旧NISAと新NISAの違い
旧NISAと新NISAの違いは以下のとおり。
旧NISA | 新NISA | |||
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
併用の可否 | 併用不可 | 併用可 | ||
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 | ||
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託等(除外条件あり) |
対象年齢 | 18歳以上 |
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
つみたて投資枠は、旧制度のつみたてNISAを引き継いだ枠です。
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に投資でき、対象商品はつみたてNISAと同じです。
成長投資枠は、旧制度の一般NISAを引き継いだ枠で、つみたて投資枠の対象商品はもちろん、対象外の投資信託や株式にも投資できます。
ただ、一般NISAよりも対象商品は制限されます。
①非課税保有期間の無期限化
旧NISAでは非課税保有期間に制限がありましたが、新NISAでは無期限になりました。
この仕組みは、長期投資の理念に基づいて設計されており、保有資産を途中で移管する手続きや期限切れの心配をせずに運用できます。
これにより、投資家は非課税の恩恵を最大限に享受できるだけでなく、長期的な資産形成の計画をより柔軟に立てられることが可能です。



また、無期限の非課税枠は、複利効果を十分に引き出す上で大きなアドバンテージをもたらします。
特に、株式や投資信託のような成長資産に投資する場合、長期間保有することで市場の成長を取り込む可能性が高まるため、非課税期間の延長は投資成果に直結する重要な要素となります。
②口座開設期間の恒久化
旧NISAでは、口座開設期間が2023年までと期限が設けられていたため、始めるタイミングが遅れた場合、非課税枠を使い切れないまま制度が終了してしまうリスクがありました。
一方で、新NISAでは、口座開設期間が恒久化されたため、始める時期が遅くなっても非課税枠を十分に活用できるようになりました。
自分に適したタイミングで投資を始められる柔軟性が加わり、多くの人にとって利用しやすくなったと言えるでしょう。
③非課税保有限度額の拡大&再利用可
旧NISAでの非課税保有限度額は、つみたてNISAで800万円、一般NISAで600万円ですが、新NISAでは1,800万円(成長投資枠は1,200万円)です。
つみたて投資枠の上限は1,800万円となっていますが、成長投資枠の上限は1,200万円であるため、以下のように使い分けることもできます。
- 全てつみたて投資枠
1,800万円を全てつみたて投資枠で運用。ただ、つみたて投資枠の上限は120万円/年であるため、使い切るのに15年はかかります。 - つみたて投資枠と成長投資枠の併用
例えば、つみたて投資枠(600万円)+成長投資枠(1,200万円)で運用。他にも、つみたて投資枠(900万円)+成長投資枠(900万円)などの組み合わせもあります。
また、新NISAで保有している商品を売却した場合、その分の簿価金額(購入時の価格)だけ翌年に非課税枠が復活し、再利用可能です。
例えば、50万円で購入した商品が2倍の100万円になった際に20万円分を売却した場合、購入時の価格は10万円であるため、10万円分が翌年の非課税枠として復活します。
これにより、売却した分の一部を再投資することができるだけでなく、非課税の恩恵を引き続き活用することができます。
④年間投資上限額の拡大
旧NISAでは、つみたてNISAの年間投資上限額は40万円、一般NISAの年間投資上限額は120万円に設定されていました。
一方、つみたて投資枠は年間120万円まで、成長投資枠は年間240万円まで投資が可能であり、この2つの枠を併用することで、年間合計360万円まで非課税投資ができます。



旧NISAと比べて年間投資上限額が大幅に増えています。
⑤つみたて投資枠と成長投資枠の併用可
旧NISAでは、つみたてNISAと一般NISAは併用できませんが、つみたて投資枠と成長投資枠は同時に利用可能です。
この仕組みにより、コツコツと積み立てながら、成長が期待できる投資商品にも柔軟に資金を配分できるようになりました。
そのため、旧NISAと比べて選択肢が広がり、個々の投資目標やライフステージに応じた投資戦略が取りやすくなっています。
新NISAの始め方
新NISAの始め方は以下のとおり。
- 証券口座を開設する
- ポートフォリオを決める
- 投資信託を積立購入する
①証券口座を開設する
投資信託を購入するには証券口座を開設する必要があります。
多くのネット証券ではNISA口座での取引手数料が無料になったので、使用するクレジットカードによって証券口座を選ぶと良いでしょう。
NISA口座(非課税口座)とは?
証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資を行い利益を得たら20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資を行えば税金がかかりません。
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
楽天カード利用者 | 楽天証券 >> 楽天証券のメリット・デメリットについて解説 |
au PAY カード利用者 | 三菱UFJ eスマート証券 >> 三菱UFJ eスマート証券のメリット・デメリットについて解説 |
dカードまたは上記3つ以外のカード利用者 | マネックス証券 >> マネックス証券のメリット・デメリットについて解説 |



クレジットカードで積立するとポイントが還元されます。
なお、マネックス証券のポイント還元率は1.1%とトップクラスの還元率を誇ります。
三井住友カードや楽天カード、au PAY カードを持っていない方は、マネックスカードを作成してマネックス証券を利用すると良いでしょう。
②ポートフォリオを決める
ポートフォリオとは、どれくらいの配分で金融商品の具体的な銘柄へ投資するかという組み合わせを指します。
当サイトで推奨しているポートフォリオは以下の3パターン。
- オルカン
- オルカン+債券
- オルカン+インド
※オルカンとは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のことです。
詳しくは「新NISAにおすすめのポートフォリオについて解説」をご覧ください。



新NISAでは投資信託(複数の投資家から資金を集め、専門のファンドマネージャーが運用する投資商品)を利用すると良いでしょう。
③投資信託を積立購入する
ポートフォリオを決めたら投資信託を積立購入します。
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
新NISAに関するQ&A


年の途中から始められる?
新NISAは年の途中からでも始められます。
ただ、つみたて投資枠での投資額は毎月10万円までと決まっているため、途中から全ての枠を埋めることはできません。



翌年になれば全ての枠を埋められるようになります。
旧NISAと別の金融機関で始められる?
新NISAは旧NISAと別の金融機関で始められます。
旧NISAを利用していて事前に金融機関の変更手続きを行っていない場合は、自動的に同じ金融機関で新NISA口座が開設されます。



また、NISA口座は1年後に他社に変更可能です。
ただ、変更の際はタイミングに注意が必要で、NISA口座の変更が可能な期間は、変更を希望する前年の10月1日から変更を希望する年の9月30日までです。
例えば、2025年にNISA口座の変更を希望するのであれば、2024年10月1日から2025年9月30日までにNISA口座の変更手続きを済ませる必要があります。
新NISAを始めたら旧NISAはどうなる?
旧NISA口座と新NISA口座は別枠管理です。
そのため、旧NISAを保有している人が新NISA口座を作っても、新旧2つのNISA口座が統合されることはありません。



また、新NISA口座は旧NISA口座がある金融期間で開設されています。
新NISAと旧NISAは併用できる?
旧NISA口座と新NISA口座は別枠管理であるため、併用できます。
そのため、つみたてNISA口座で購入した商品を引き続き非課税で運用しながら、新しいNISAのつみたて投資枠で商品を積み立てられます。
また、旧NISA口座で保有している金融商品がある場合でも、それが理由で新NISAで新規に投資できる金額が制限されることはありません。



ただ、新NISAを利用し始めると旧NISA口座での新規買い付けはできなくなります。
旧NISAから新NISAへ移行するには?
旧NISA口座と新NISA口座は別枠管理であるため、旧NISA口座で保有している金融商品は新NISA口座には移管されません。
旧NISAから新NISAへ移行するには、旧NISA口座で保有している資産を売却し、新NISA口座で再度買い付ける必要があります。
この過程において、売却時に利益が発生しても課税されませんが、売却時や再購入時のタイミングによって価格変動が発生する可能性があるため注意が必要です。
NISA口座は複数所持できるの?
一人につき開設できるのは1つの金融機関に限定されており、複数の金融機関で同時に開設することはできません。
もし別の証券会社にNISA口座を移したい場合は、現在利用している金融機関でのNISA口座を廃止し、移行手続きを行う必要があります。



どの金融機関でNISA口座を開設するかを慎重に選ぶことが重要です。
年間上限額を超えたら?
新NISAの年間投資枠は360万円までです。
年間投資枠を超えた場合、NISA口座での投資は行えませんが、課税口座(一般口座・特定口座)での投資は行えます。



NISA口座で投資したい場合は翌年まで待つと良いでしょう。
スイッチングはできる?
スイッチングは、これまで運用してきた金融商品を売却し、そのお金で他の金融商品を購入することです。
非課税投資枠が余っている場合、保有している金融商品を現金化してから、新たな商品を購入することで、スイッチングと同様に資産配分を変えられます。



なお、売却分の枠が復活するのは翌年になります。
利益分だけ売却できる?
新NISAでは、運用している金融商品をいつでも売却して現金化できますが、運用益のみを切り離して売却することはできません。
特に、投資信託の場合、投資信託の価値を示す「基準価額」には、投資元本と運用によって得られた利益が合算された形で表示されます。
そのため、利益分だけを厳密に計算して売却することは難しく、実際には一部売却を行う際には投資元本の一部も同時に引き出される形になります。
未利用枠は繰り越せる?
つみたて投資枠、成長投資枠ともに年間の上限枠まで使い切れなかった場合でも、その分を翌年に繰り越すことはできません。
使用していない分は翌年以降に使用できますが、年間360万円以上投資することはできません。
例えば、年間で180万円投資した場合、残りの180万円分を翌年以降に利用できますが、翌年に投資できる額は360万円までです。
成長投資枠だけ利用できる?
つみたて投資枠は使わず、成長投資枠だけ利用することもできます。
ただ、成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円であるため、成長投資枠だけの場合は1,200万円以上は投資できません。



つみたて投資枠も利用すれば、1,800万円まで投資可能です。
新NISAは円安を加速させる?
新NISAでは、オルカンやS&P500などの外貨建ての商品が人気であり、これらの商品を購入することは円を売る行為と言えます。
通貨の価値は基本的に需要と供給のバランスで決まり、円を保有する人が増えれば価値は上がり、円を手放す人が増えれば価値は下がる仕組みです。
したがって、外貨建て商品を購入する投資家が増えると、理論上は円の需要が減少し、円安方向に一定の影響を与える可能性があります。
ただ、為替の変動は、需要と供給のバランスだけでなく、金利差や経済政策、国際情勢などの要因が複雑に絡み合います。
また、財務省のトップである鈴木俊一氏は、新NISAが円安を招いているとの指摘に対し、「新NISAだけに変動要因を求めることは困難」との見解を示しました。
今月から始まりました新しいNISAによりまして、家計における貯蓄から投資へのシフトが進みつつある中で、分散投資という観点から、国内資産のみならず、海外資産への投資が増加しているということは認識をいたしております。
引用:金融庁
その上で、新しいNISAと為替レートの関係についてでありますが、ご指摘のような見方があるということは承知をしておりますけれども、為替レートは、国内外の経済・財政状況、国際収支、金融政策の動向、投資家の予測やセンチメントなど、様々な要因により決定されるものでありますので、この変動の要因を一概に申し上げる、つまり新しいNISAだけにその変動要因を求めるということは困難であると、そのように考えております。
新NISAによる円売りという一因だけで円安が顕著に進行するとは考えにくく、あくまで市場全体の動向の中で微細な影響を与えるに留まるでしょう。
損失が出ている場合はどうすべき?
損失が出ている状況でも、投資を続けることが非常に重要です。
価格が戻る可能性は十分にありますし、短期的な価格の上下に対して過敏に反応することは、資産を減らすリスクを高める可能性があります。
新NISAは、長期的な視点に基づいて設計されていますので、焦らずに一貫した投資を続けることが、資産形成を成功させるためには不可欠です。
元本割れのリスクはある?
投資において元本割れのリスクは避けられませんが、これを抑える最も効果的な方法は長期投資です。



一時的に元本割れが生じることもありますが、長期間投資を続けることで損失を避けやすくなります。
以下の図は1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券 積立投資を行い、5年間と20年間それぞれ保有した場合についての年間収益率を計算したものです。


上記のデータを見ると、短期的にはマイナスとなる可能性もありますが、20年と長期投資を続ければ運用収益率は2~8%の範囲となっています。
過去のデータが未来を保証するわけではありませんが、長期的に投資を続けることで元本割れのリスクを大きく抑えられます。
新NISAと投資信託の違いは?
新NISAは非課税制度であり、NISA口座を利用して投資すると利益に対して税金がかかりません。
一方、投資信託は金融商品の一種であり、複数の投資家からお金を集めて、専門の運用会社がその資金を運用します。


運用会社は市場や経済の動向を研究して最適な投資先を選択するため、投資家は自分自身で資産を選ぶ必要がなく、運用会社に任せることができます。
また、全世界株式のような投資信託は世界中の株式約3,000〜9,000銘柄に投資を行うので、一本の投資信託だけで複数の企業や国に分散投資することも可能です。
途中で資産を引き出せる?
新NISAで運用している金融商品はいつでも売却をして現金化できます。
必要な分だけ売却でき、引き出し回数に制限もありませんが、途中引き出しには以下の2つのデメリットが存在するため注意が必要です。
- タイミングによっては損することもある
- 複利効果が得にくい
保有している金融商品の価格が引き出す際に上がっているとは限らず、タイミングによっては元金を割り込む可能性も考えられます。
また、複利効果は投資期間が長いほど効果が大きくなりますが、途中で引き出してしまうと複利効果を十分に得られなくなります。



資産の途中引き出しは極力行わない方が良いでしょう。
途中で金額を変更できる?
新NISAでは、途中で投資金額を変更できます。
余裕があるときは積極的に増額し、一時的に支出が増えるときは減額するなど、状況に応じて柔軟に調整することが可能です。



なお、投資額を減額する際は、得られる運用益が少なくなるリスクも伴います。
まとめ
今回は新NISAとは何かについて解説しました。
- NISAとは?
- 旧NISAと新NISAの違い
- 新NISAの始め方
- 新NISAに関するQ&A