
オルカンとS&P500の両方に投資するのはあり?
このような悩みに答えます。
- オルカンとは?
- S&P500とは?
- オルカンとS&P500の比較
- オルカンとS&P500両方はあり?
- オルカンとS&P500半々ずつ持つと?
- 投資信託の買い方
- オルカンとS&P500に関するQ&A
オルカンは先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約3,000銘柄で構成される投資信託、S&P500は米国の主要企業500社で構成される株価指数です。
ただ、オルカンの構成銘柄を見ると、その約6割が米国株で占められており、S&P500に含まれる銘柄と多くの重複が見られます。
結論から言うと、両方に投資するのはおすすめしませんが、投資の心理的な安心感や米国株の比率をさらに高めたいなら両方への投資も選択肢の1つです。
本記事では、オルカンとS&P500の違いや両方に投資するのはありかについて詳しく解説します。
なお、オルカンやS&P500に投資するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
【おすすめのネット証券】
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
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オルカンとは?
名称 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
分類 | インデックス |
目標とする指数(ベンチマーク) | ACWI |
純資産額 | 5兆3846億円 |
購入時手数料 | なし |
信託財産留保額 | なし |
信託報酬(運用管理費用) | 0.05775% |
成長投資枠対象 | ◯ |
つみたて投資枠対象 | ◯ |
販売会社 | ネット証券、総合証券、銀行など |
オルカンは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託です。
全世界株価指数「ACWI」に連動するインデックスファンドで、先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約3,000銘柄で構成されています。


人気・知名度が高く、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the year」では5回連続(2019年〜2023年)で第1位に輝いています。
そんなオルカンは、強い国には多く投資して弱い国には少なく投資する「時価総額加重平均」を用いています。
現在は米国が全体の64.2%を占め、日本は5.0%、イギリスは3.3%となっていますが、新興国がさらに成長すれば比率は大きく変わります。
S&P500とは?
名称 | S&P500 |
指数基準日 | 1957年3月4日 |
構成銘柄数 | 500 |
構成銘柄 | 米国の主要企業500社 |
指数の計算方法 | 浮動株調整後時価総額加重平均 |
銘柄入れ替えの頻度 | 年4回(3月・6月・9月・12月) |
S&P500は、米国の代表的な株価指数の1つであり、米国の主要企業約500社の時価総額をもとに算出されています。



米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしており、米国の経済動向を反映する重要な指標として幅広く利用されています。
S&P500にはGAFAMなどの米国を代表する企業が含まれているため、S&P500に連動する投資信託に投資することで、米国の主要企業500社に投資するのと同じ効果が得ることが可能です。
S&P500に連動する投資信託として「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「楽天・プラス・S&P500インデックスファンド」などがあります。
オルカンとS&P500の比較
構成国
組入上位10ヵ国は以下のとおり。
国・地域 | オルカン | S&P500 |
米国 | 63.4% | 100% |
日本 | 4.8% | – |
イギリス | 3.4% | – |
カナダ | 2.7% | – |
フランス | 2.6% | – |
スイス | 2.2% | – |
ドイツ | 2.2% | – |
ケイマン諸島 | 2.0% | – |
インド | 1.9% | – |
台湾 | 1.7% | – |
オルカンは米国の比率が約6割であるのに対し、S&P500は100%米国です。
組入銘柄
組入上位10銘柄は以下のとおり。
オルカン | S&P500 | ||
---|---|---|---|
アップル | 4.2% | アップル | 6.9% |
エヌビディア | 3.5% | マイクロソフト | 5.9% |
マイクロソフト | 3.5% | エヌビディア | 5.7% |
アマゾン | 2.4% | アマゾン | 3.8% |
メタ・プラットフォームズ | 1.6% | メタ・プラットフォームズ | 2.7% |
アルファベット A | 1.4% | アルファベット A | 2.1% |
テスラ | 1.0% | バークシャー・ハサウェイ | 2.0% |
ブロードコム | 1.0% | ブロードコム | 1.7% |
TSMC | 0.9% | テスラ | 1.6% |
バークシャー・ハサウェイ | 0.9% | JPモルガン | 1.4% |
どちらもほぼ同じ銘柄です。
チャート
1993年〜2023年における、全世界株式とS&P500のチャート比較は以下のとおり。


1993〜2012年ごろまではそこまで大きな差はありませんが、2013〜2023年にかけてS&P500が大きく上昇しています。
過去10年間のS&P500が大きく成長した要因は、GAFAMをはじめとする米国テクノロジー企業の成長が挙げられます。



今後も米国テクノロジー企業の成長が続けば、全世界株式よりも高いパフォーマンスを記録するでしょう。
リターン
期間 | オルカン | S&P500 |
過去1年 | 4.4% | 3.5% |
過去3年 | 13.6% | 13.9% |
過去5年 | 23% | 25.1% |
過去10年 | 11.6% | 14.4% |
過去15年 | 12.8% | 16.3% |
過去20年 | 9.9% | 11.8% |
過去30年 | 10% | 12.2% |
- 参考サイトはmyINDEX
- オルカンは2018年に運用が開始された投資信託であるため、ACWIのデータを使用
リターンとは?
リターンとは、ある期間における増減率を示す指標です。
年リターンが3%であれば1年間で3%増加、年利リターンが-3%であれば3%減少したという意味です。
リターンはS&P500の方が大きいです。
業種
組入上位10業種は以下のとおり。


オルカン | S&P500 | ||
---|---|---|---|
情報技術 | 23.80% | 情報技術 | 30.73% |
金融 | 17.20% | 金融 | 14.45% |
一般消費財 | 10.70% | ヘルスケア | 10.78% |
資本財 | 10.10% | 一般消費財 | 10.51% |
ヘルスケア | 9.90% | コミュニケーション・サービス | 9.46% |
コミュニケーション・サービス | 8.10% | 資本財 | 8.33% |
生活必需品 | 5.90% | 生活必需品 | 5.88% |
エネルギー | 3.80% | エネルギー | 3.30% |
素材 | 3.50% | 公益事業 | 2.39% |
公益事業 | 2,40% | 不動産 | 2.20% |
各業種の特徴
【情報技術】
テクノロジー、ソフトウェア、ハードウェア、インターネットサービスなど
【ヘルスケア】
医薬品、バイオテクノロジー、医療機器、医療サービスなど
【一般消費財】
自動車、アパレル、レジャー、インターネットおよびダイレクトマーケティング小売など
【金融】
銀行、保険、証券、資産運用など
【コミュニケーション・サービス】
メディア、エンターテインメント、通信サービスなど
【資本財】
航空宇宙、防衛、建設、製造業など
【生活必需品】
食品、飲料、家庭用品、タバコなどの生活必需品を提供する企業
【エネルギー】
石油、ガス、エネルギー設備など
【公益事業】
電力、ガス、水道などの公共サービスを提供する企業
【不動産】
不動産投資信託や不動産開発、不動産運営を行う企業
【素材】
化学製品、建設資材、パッケージング、金属、鉱業など
オルカンはS&P500と比べて業種全体の分散がより広く行われている点が特徴的です。
一方、S&P500は情報技術の割合が高いことが際立っており、特定の業種に依存する傾向が見られます。
オルカンとS&P500両方はあり?
どちらか片方で十分
オルカンとS&P500の両方に投資するのはおすすめしません。
オルカンの約60%は米国の株式で構成されているため、S&P500に追加で投資すると、米国株への偏りが一層強くなります。
オルカンの最大の魅力は、全世界に分散投資できる点にあり、この広範な分散があるからこそ、リスクを低減し、さまざまな市場の成長を享受することが可能。
しかし、両方保有するとなると、米国株の割合が高くなり、オルカンが持つ「全世界に分散」という特徴が損なわれてしまいます。
さらに、投資信託は保有しているだけで信託報酬という手数料が発生し、コストが無駄に増加する可能性があります。
したがって、コストと投資効率を考慮するならば、どちらかを選択することで、無駄なコストを抑えることができるでしょう。
両方へ投資するのもあり
両方へ投資するのはおすすめしませんが、以下のような場合は両方への投資も検討すべきです。
【オルカンとS&P500の両方に投資すべきケース】
- 心理的な不安を減らしたい
- 米国の比率を上げたい
心理的な不安を減らしたい
オルカンは全体の約6割が米国株で構成され、S&P500は米国株のみ。
このため、オルカンとS&P500の両方に投資することで、実質的に米国への投資比率が非常に高くなります。
ですが、両方に投資することで、どちらか一方だけを持っている場合に感じるかもしれない心理的な不安や「どちらを選べばよいのか」という迷いを減らせます。
これにより、安心して長期的な投資を行うことができるでしょう。
米国の比率を上げたい
S&P500は1940年以来、一時的な暴落を繰り返すも長期的には上昇しています。


さらに、S&P500は今後も成長すると期待されています。
【S&P500が期待される理由】
- 数々の下落相場を乗り越えてきた
- 成長率が高い
- 今後も米国の人口は増加する
- 技術力・人材力が高い
- 有名企業が数多くある
- 高配当の企業が数多くある
- 株主の監視が厳しい
- 自己資本利益率が高い
- 研究開発に多額の費用を費やしている
今後も米国株の成長に期待しているのなら、米国の比率を上げるためにオルカンとS&P500の両方に投資すべきでしょう。
両方へ投資しても分散効果はほぼない
なお、オルカンとS&P500の両方に投資しても分散効果はほぼありません。
1998年12月末~2023年4月末における全世界株式と米国株式の相関係数は0.96と極めて高く、ほぼ同じ値動きをしていることが分かります。


相関係数とは?
相関係数(そうかんけいすう)は、二つのデータの関係がどれだけ強いか、またはどの方向に向かっているかを示す数字です。
簡単に言うと、「1つのデータがもう1つのデータとどれだけ一緒に動くか」を教えてくれる指標です。
- 1.00(+1.00)の相関係数は、完全な正の相関を示します。これは、片方の変数が増加するともう片方の変数も同じ比率で増加することを意味します。
- 0.00 の相関係数は、全く相関がないことを示します。
- −1.00の相関係数は、完全な負の相関を示します。これは、片方の変数が増加するともう片方の変数が同じ比率で減少することを意味します。



このため、両方に投資したとしても、リスクはほとんど変わらない点に注意が必要です。
オルカンとS&P500半々ずつ持つと?
オルカンとS&P500を半々ずつ持つと国・地域の比率は以下のようになります。
国・地域 | 比率 |
米国 | 81.15% |
日本 | 2.75% |
イギリス | 1.85% |
フランス | 1.45% |
カナダ | 1.45% |
その他 | 6.0% |
新興国 | 5.35% |
米国が8割を超え、新興国の割合は5.35%とかなり小さくなります。
手数料はオルカンの0.08775%に加えてS&P500に連動する投資信託の手数料がかかり、リターンはそれぞれのリターンを平均した値です。
期間 | ACWI | S&P500 | ACWI(50%)+S&P500(50%) |
過去1年 | 34.3% | 35% | 34.65% |
過去3年 | 20% | 23.8% | 21.9% |
過去5年 | 17.6% | 20.9% | 19.25% |
過去10年 | 13.2% | 16.8% | 15% |
過去15年 | 15.3% | 18.6% | 16.95% |
過去20年 | 9.9% | 11.5% | 10.7% |
過去30年 | 8.7% | 11.2% | 9.95% |



過去のリターンはオルカン単体よりも高くなっています。
投資信託の買い方
投資信託の買い方は以下のとおり。
- 証券口座を開設する
- 投資信託を積立購入する
①証券口座を開設する
投資信託を購入するには証券口座を開設する必要があります。
多くのネット証券ではNISA口座での取引手数料が無料になったので、使用するクレジットカードによって証券口座を選ぶと良いでしょう。
NISA口座(非課税口座)とは?
証券口座には課税口座(一般口座と特定口座)とNISA口座(非課税口座)があります。
課税口座で投資を行い利益を得たら20%の税金がかかりますが、NISA口座で投資を行えば税金がかかりません。
三井住友カード利用者 | SBI証券 >> SBI証券のメリット・デメリットについて解説 |
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クレジットカードで積立するとポイントが還元されます。
なお、マネックス証券のポイント還元率は1.1%とトップクラスの還元率を誇ります。
三井住友カードや楽天カード、au PAY カードを持っていない方は、マネックスカードを作成してマネックス証券を利用すると良いでしょう。
②投資信託を積立購入する
証券口座を開設したら投資信託を積立購入します。
つみたて投資枠、成長投資枠とは?
新NISAでは、年間投資枠120万円の「つみたて投資枠」と年間投資枠240万円の「成長投資枠」が設けられています。
つみたて投資枠ではつみたて投資のみ行えますが、成長投資枠では一括投資とつみたて投資の両方が可能です。
そのため、つみたて投資に年間最大360万円あてることもできます。
なお、新NISAにおける非課税保有限度枠は1,800万円であり、最短5年で全ての枠を埋められます。
オルカンとS&P500に関するQ&A


オルカンとS&P500どっち?
過去30年のリターンはS&P500の方が良いですが、どっちかで迷ったらオルカンをおすすめします。
長期的な視点で見ると、どの国の株式が好調になるかは時期によって異なり、例えば1980年代は日本、2010年代は米国の株式が大きく伸びました。
しかし、未来にどの国が経済成長を遂げるかを予測するのは難しいため、グローバル分散投資がリスク管理に役立つと言えます。
オルカンは時価総額加重平均を用いた投資信託であるため、企業の時価総額が大きいほどその組入比率が高くなります。
これにより、成長した国や企業は自然と組入比率が増加し、個別の国や企業の成長を予測する手間を省くことが可能です。
現在は米国が全体の62.3%を占め、日本が5.5%、英国が3.7%といった構成ですが、今後もし新興国が急成長すれば、この比率は大きく変動します。
このように、オルカンは国際分散投資の観点で魅力的な選択肢であり、リスクを抑えながら成長する可能性のある市場へ自動的に対応することが可能です。
詳しくは「【徹底比較】オルカンとS&P500どっちを選ぶべき?」をご覧ください。
オルカンだけでいい?
オルカン一本で先進国(23ヵ国)・新興国(24ヵ国)の株式約3,000銘柄に投資可能です。
オルカン以外にも全世界株式はありますが、リターンは大差ないことに加え、複数保有すると余計に手数料がかかります。
ただ、オルカンは経済成長が期待されているインド株が1〜2%しか含まれておらず、株式100%で構成されています。
インドの成長を取り込みたい方はインド株、オルカンのリスクを抑えたい方は国債を組み入れると良いでしょう。
詳しくは「オルカンだけでいい?集中投資するリスクと対策について解説」をご覧ください。
S&P500におすすめの投資信託は?
S&P500に連動する主な投資信託は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。
運用会社は三菱UFJアセットマネジメントで、純資産額は国内の投資信託約6,000本の中でトップの6兆1000億円を誇ります。
また、2018年から最安水準の手数料を維持し続けており、運用実績も豊富です。
詳しくは「S&P500に連動するおすすめの投資信託について解説」をご覧ください。
まとめ
今回はオルカンとS&P500の両方に投資すべきかについて解説しました。
- オルカンとは?
- S&P500とは?
- オルカンとS&P500の比較
- オルカンとS&P500両方はあり?
- オルカンとS&P500半々ずつ持つと?
- 投資信託の買い方
- オルカンとS&P500に関するQ&A
オルカンとS&P500の両方に投資するのはおすすめしません。
オルカンの約60%は米国の株式で構成されているため、S&P500に追加で投資すると、米国株への偏りが一層強くなります。
オルカンの最大の魅力は、全世界に分散投資できる点にあり、この広範な分散があるからこそ、リスクを低減し、さまオルカンが持つ「全世界に分散」という特徴が損なわれてしまいます。
さらに、投資信託は保有しているだけで信託報酬という手数料が発生し、コストが無駄に増加する可能性があります。
したがって、コストと投資効率を考慮するならば、オルカンを選択することで、全世界に分散しつつ、無駄なコストを抑えることができるでしょう。
ただ、投資の心理的な安心感や米国株の比率をさらに高めたいといった場合には、オルカンとS&P500の両方へ投資するのも一つの選択肢です。
なお、オルカンやS&P500に投資するには証券口座を開設する必要があります。
まだ口座を開設していない方はこれを機に開設しておきましょう。
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